こんにちは、大阪府寝屋川市香里園の
あおぞら歯科クリニック
です。
2010.12.25追記
ビスフォスフォネート系薬剤に新しい薬剤が追加されていました。
この記事を書いた時にはすでに出ていたのですが、
筆者の勉強不足のため一覧には記載していませんでした。
本日時点でのビスフォスフォネート一覧は以下の通りです。
赤字の部分が追記分です。
(経口薬:お口から飲むお薬)
ダイドロネル
フォサマック
ボナロン
アレンドロン酸(ジェネリック)アクトネル
ベネット
ボノテオリカルボン(静注薬:点滴で入れるお薬)
アレディア
オンクラスト
テイロック
ビスフォナール
ゾメタ
追記は以上です。
久しぶりに、歯の健康の話をしたいと思います。
とはいえ、少し前に(少なくとも専門家の間では)ブームになった話ですので、
そんなに真新しい話ではないのですが。
非常に長文になってしまったので、先に結論だけ書いておきます。
ビスフォスフォネートという、骨粗鬆症や悪性腫瘍のお薬についてです。
ごくごくまれに、顎の骨が悪くなるという副作用があります。
そうなる可能性を高めないためにも、定期健診をこころがけてください。
また、服用されているときは、われわれにお知らせください。
実際のお薬の名前は一番下に書いてます。
では、本文をどうぞ。
骨粗鬆症のお薬で、ビスフォスフォネート製剤(ビスホスホネートとも。以下BP)
というものがあります。骨粗鬆症以外には悪性腫瘍の骨転移などが適応です。
聞くところによると、いまや骨粗鬆症の第一選択薬であるとか。
そのBPですが、ごくまれに下顎の骨の壊死を引き起こすことがあるのです。
しかも、その場合非常に治りにくいというやっかいなものです。
専門的な話はできる限り割愛しようと思いますが、
定義だけお付き合いください。
アメリカ口腔顎顔面外科学会が定めた定義は以下の通りです。
ビスフォスフォネート系薬剤関連顎骨壊死
(Bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw;BRONJ)とは
1.骨の露出の8週間以上の継続。
2.頭頸部への放射線治療の既往が無いこと。
3.ビスホスホネート製剤の治療の経験があること。
以上3つをすべて満たすもの。
・・・つまり、顎の骨がむき出しの状態が長いこと続いていて、
なおかつ放射線治療を受けていないということです。
放射線治療の副作用として似たような状態になるので、
それと区別するために除外しているわけですね。
数年前から報告され、今も世界中の専門家が調べていますが、
今もって、その原因や治療法ははっきりとは確立されていません。
それでも、いくつかの傾向は分かってきました。
・経口(口から飲む)より静脈注射のほうがリスクが高い
・開発時期が最近(薬の効果が強い)ほうがリスクが高い
・長い期間を飲んでいるほうがリスクが高い
・抜歯などのお口の中の大きな治療をした後のほうがリスクが高い
とはいえ、可能性の問題ですから、これらの逆のパターンでも起こりえます。
つまり、経口薬で、比較的軽い薬で、飲み始めで、特に最近歯医者にかかってない
・・・このような人でも起きるときは起きます。
ちなみに、一度飲み始めると、飲むのをやめても症状が出ることがあります。
とはいえ、その頻度は低く、メリットも多いお薬ですので
(調査内容やお薬によって差がありますが、静脈注射で1%、経口で0.01%程度)
服用を中止すべきかというと、難しい問題です。
例えるなら、交通事故にあうのを避けるために外に出ないというのは
メリットとデメリット、どちらが多いかということになるでしょうか。
必要以上に恐れることもありませんが、こういう副作用もありますよ、ということと
その可能性を高めないためにも以下のことに注意してください。
・BPを飲む前に抜歯などの大きな処置は前もって行う
・BP服用中、服用後は大きな処置を行わずに済むように定期健診を心がける
また、BPを服用されている方は事前に我々におしらせください。
該当するお薬の名前は以下の通りです。
(経口薬:お口から飲むお薬)
ダイドロネル
フォサマック
ボナロン
アクトネル
ベネット
(静注薬:点滴で入れるお薬)
アレディア
オンクラスト
テイロック
ビスフォナール
ゾメタ
特に点滴で入れるほうはお薬手帳にも載りませんし、
副作用も出やすいのでご注意ください。
ご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
それでは、長文におつきあいくださいまして、ありがとうございました。